*作者紹介*大城司が05年から展開する「Balloon skirt」は球体のオブジェの中に体を入れるという本来の洋服の「装う」概念を無視した発想から生まれた。その制作過程は型紙を一切とらない裁断で「縫製」ではなく「構築」するという表現がふさわしい。多様な素材のミクスチャーで構成される作品は、その全てがブランドのもつ圧倒的な個性を放っているが、それは逆に着る側に自由でインディペンデントな空気を与えている。ファッションシーン、アートシーンにもファンは多く国外では知る人ぞ知るブランドとして認知されている。今回はアート作品との初の合同エキシビションとなる。 *津波博美が08年開催のwanakioで発表した「Speakers」は南城市佐敷の実父が残した未完の家で、12台のスピーカーから流れる12人の声と空間に張ったピンクの水糸で構成され、そのサウンド、色、光を空中に放った。「自身の喪失した時間の再構築」というエキシビションのコンセプトとおり自身のアイデンティティと向き合う作品となる。クールさの間に潜むパーソナルな部分の表現が多い作風は「そのパーソナルさはユニバーサルである」と評価された。 *「見た事の無い景色を知っている人」と評された野田結子はロンドン芸術大学セントマーチンズに所蔵された「Elastic bands left from the postmenー郵便配達人が残していったゴム」の中でゴムで作った球体の中に母宛の書きかけの手紙を入れた。壊れた洗濯機や廃棄物、死んだ虫等を素材に使う彼女の作品はそれぞれがセンチメンタルな再生である。なぜなら廃棄と言う永遠の休息を与えられずに、その作品の中で朽ちていく姿を曝されるからだ。それはどこか無垢な者の視線であり可笑しく儚く美しくて残酷だ。今回は野田の4年ぶりの新作が発表される。